ミルクスネーク
Lampropeltis triangulum ナミヘビ科


  ネルソンミルクスネーク
 キングスネーク属の中の1種で、図鑑や専門書では他のキングスネーク属のヘビと一緒に紹介されるのが普通です。本著でミルクスネークだけを別項扱いしているのは、言わば異例です。ただ、数あるキングスネーク属の中で、本種だけがあえてミルクスネークと呼称されており、本種だけで25亜種ばかりを擁する大所帯でもあります。キングスネーク属の中でも、これだけ多くの亜種に分けられるものは他にありません。亜種がひじょうに多いのは、ミルクスネークの棲息範囲の広さを表しているとも言えます。
 
  プエブランミルクスネーク
 
ミルクスネークも、キングスネーク属の仲間だけあってヘビ食いの習性があります。要するに小型哺乳類だけでなく多くの爬虫類を食するヘビであるわけです。ただし、キングスネーク属の中ではいささか神経質で、なんにでもガツガツ食いつくという感じはありません。飼育下でも飼育環境に慣れるまではシェルターにもぐり込んだまま姿を見せず、なかなか餌を食べてくれない場合もあります。とくに幼蛇の餌づけは難しいです。
 
 
  ホンジュランミルクスネーク
 神経質な点と、白黒赤の鮮やかなトリカラー(3色)は、マウンテンキングスネークと共通しています。ミルクスネークの方が概して黒色が強く、成長するに従って黒ずんで来たりしますが、マウンテンキングスネークの場合は成長しても鮮やかなトリカラーを維持します。
 ミルクスネークの食性は上述しましたが、その名の通りミルクを飲むわけではありません。そのむかし、本種を発見した人が、牛舎でよく見かけたので、牛のミルクを狙っていると思ったそうです。実際には、牛舎に住み着いているネズミか何かを狙っていたのでしょうが。
 
  シナロアミルクスネーク
  ミルクスネークの色彩は、明らかに猛毒のサンゴヘビに擬態したものです。ある種のサンゴヘビは、ミルクスネークに酷似しています。筆者としてはこの美しい毒ヘビをぜひとも飼ってみたいところですが、その神経毒は最強レベルで、咬まれると命の危険にさらされます。飼うには特定動物の飼養に関する条例に従って許可をとらねばなりませんし、それ以前に入手が困難です。それにしても、サンゴヘビがミルクスネークと間違ってペットトレードに乗ってしまったようなことはないのでしょうか。熟練の飼育者ならすぐに見分けるでしょうが、両者を写真でしか見たことがないような人には、一見して見分けられないかもしれません。
 
  ハリスコミルクスネーク
  ミルクスネークは、神経質で飼育環境や飼育者に馴れさせるのはいささか困難ではありますが、本種の中でもひときわよく出回っているネルソンミルク、ホンジュランミルク、プエブランミルクに関しては、そんなに手こずらないと思います。神経質なヘビの飼育法に準じてシェルターを用意してやりますが、最初の内はシェルターにもぐり込んだままだったものの、馴れるに従ってしばしば姿を見せるようになり、その内あまりシェルターに入らなくなり、ついには人を見ると寄ってくるほどベタ馴れになります。多くのキングスネークのようにアグレッシブでないぶんむしろ扱いやすいくらいです。もちろんハンドリングも可能になります。
 
  ブラックミルクスネーク
  筆者が飼っていたプエブランミルクなどは、脱皮中にもかかわらず、人を見ると近づいてきて、そのまま手から餌を食べ、食べながら脱皮の続きをするほどの慣れっこぶりでした。
 ミルクスネークの飼育方法および繁殖方法は、キングスネークと同じですが、最初はシェルターを用意しましょう。秋から冬にかけての場合はウェットシェルターが望ましいです。もちろんその他の季節でもウェットシェルターは有効ですし、繁殖に挑戦する場合はそのまま産卵床として利用できます。
 
  メキシカンミルクスネーク
  コーンスネークの項で、ヘビの飼育に関して、充分に面倒をみても良いし放ったらかしでたまにしか様子をみたいような飼い方でもよいと述べましたが、本種のような少々神経質な面があるヘビについては、最初の内はなるべく刺激しないようにしながらも、こまめに様子を見て、人間というものに早く馴れさせるよう努めることが大切です。そして人の手から餌を食べるくらいにまで馴れたら、あとは飼育が容易になります。

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